店舗で自分から出向いて通常契約した増毛・かつらは、法律上のクーリング・オフが 原則として対象外です。増毛・かつらは消費者庁が指定する「特定継続的役務」の 7業種に含まれていないため、エステや美容医療と同じルールが当然には使えません。 ただし、訪問販売・電話勧誘で契約した場合、会社が独自に解約制度を設けている場合、 契約書に中途解約条項がある場合など、解約を検討できるケースはあります。
メンズ美容師として増毛のお客さんを見てきた立場から、増毛の解約に使える制度を 公的資料で調べました。自分の契約がどのケースに当たるかを確認する手順と、 公的な相談窓口の使い方を整理します。
まず確認:自分の契約はどのケースか
この章のポイント
- 増毛・かつらの解約は、契約の仕方によって使える制度が変わる。
- 店舗通常契約は法律上のクーリング・オフが原則対象外だが、会社独自の制度や中途解約条項で解約できる場合がある。
解約を考えたら、まず次の手順で自分の状況を確認します。
- どこで、どのように契約したか(店舗・訪問販売・電話勧誘など)を確認する
- 契約日と、契約書面を受け取った日を確認する
- 契約書の解約に関する条項(中途解約・違約金)を確認する
- 解約の意思は、記録が残る方法で会社へ連絡する
- 自分で判断できない場合は、消費者ホットライン188へ相談する
そのうえで、自分の契約が次のどのケースに当たるかを見ていきます。
ケース1: 訪問販売・電話勧誘で契約した場合
訪問販売や電話勧誘販売に該当する場合は、特定商取引法のクーリング・オフ (契約書面を受け取ってから8日以内)が適用されます2。
ケース2: 店舗で通常契約した場合
店舗で自ら出向いて契約した増毛・かつらは、特定継続的役務の指定7業種に 含まれていないため、法律上のクーリング・オフが当然には適用されません1。 ただし、以下で解約を検討できる場合があります。
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会社独自の解約制度: アデランスのファーストパックは「途中解約可能」と 公式に明記されています5(解約手数料・精算条件の詳細は記載がないため、 サロンへの確認が必要です)
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アデランス公式FAQの「8日間」の案内: アデランスの増毛・ウィッグ・育毛 サービスでは、契約・注文書交付日を含む8日間、書面または電磁的記録による 契約撤回ができると公式FAQに案内されています6。一方、増毛・かつらは 特定商取引法上の指定7業種に含まれず、店舗での通常契約は法定クーリング・ オフの対象外が原則です。公式FAQの案内が自分の契約にどう適用されるかは、 契約書面の解約条項で確認してください。
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契約書の中途解約条項: 契約書面に解約条件が書かれている場合
- 消費者契約法による取消し: 事実と異なる説明があった、重要な不利益となる 事実を説明されなかった、といった事情がある場合
アートネイチャーの契約をやめたい場合の手順(人工毛を外す費用の確認・解約の 進め方・ローンが残っている場合)は、会社別の専用記事で整理しています。
ケース3: クリニックでの医療契約の場合
特定継続的役務の「美容医療」は、皮膚の美化・体型・体重・歯牙の漂白などを目的とする、 政令・省令で定められた施術に限定されています1。植毛やAGA治療のような毛髪に関する 医療契約が、この「美容医療」に当然に含まれるわけではありません。クリニックとの契約の 解約条件は、契約書とクリニックの規定によるため、個別に確認が必要です。 なお、増毛サロンの施術は医療ではないため、このケースには該当しません。 店舗で契約する増毛・かつらと、クリニックでの医療契約は分けて考えてください。
判断の手がかりになるのは、契約書・概要書面に記載された「契約金額」「契約期間」 「解約に関する条項(クーリング・オフや中途解約の記載)」です。これらの記載内容が、 次章で案内する相談窓口へ状況を伝えるときの材料になります。
クーリング・オフのやり方(対象だった場合)
以下は、訪問販売・電話勧誘販売に該当する場合など、クーリング・オフが 適用されるケースの手順です。店舗で通常契約した増毛に当然に使えるとは 限りませんので、先に自分の契約がどのケースかを確認してください。
契約がクーリング・オフの対象である場合、手続きは記録が残る方法で行います。 口頭だけだと「言った・言わない」のトラブルになりやすいため、書面やメールなど、 後で証拠が残る形にします3。
書面で行う場合は、次のような内容を記載し、書留など記録の残る方法で送ります。
- 契約した日
- 契約した内容(サービス名・商品名)
- 契約金額
- クーリング・オフ(契約の解除)をする意思
なお、これはあくまで一般的な手順です。前章で見たとおり、増毛・かつらは契約の形に よって対象かどうかが変わります。手続きに入る前に、自分の契約が対象かを公的窓口で 確認しておくと確実です。
期間を過ぎた場合の考え方
この章のポイント
- クーリング・オフ期間を過ぎても、法律上の中途解約が必ずできるとは限らない。
- ただし、契約書の中途解約条項・会社独自の制度・契約時の説明内容によっては、解除や取消しを検討できる場合がある。
「8日を過ぎてしまったから、もう何もできない」とあきらめてしまう方もいますが、 そうとは限りません。一方で、クーリング・オフ期間を過ぎた後に、法律上の中途解約が 必ずできるわけではありません。 解約できるかどうかは、契約の内容によって異なります。
次のような事情があれば、解除や取消しを検討できる場合があります。
- 契約書に中途解約条項がある
- 会社独自の解約制度がある
- 事実と異なる説明があった、または重要な不利益となる事実の説明がなかった
- 帰りたいと伝えたのに帰してもらえなかった
これらに当たるかどうかは、契約書の内容や契約時の状況によって個別に判断する必要が あります。自分のケースで使えるかが分からないとき、解約を断られて困っているときは、 一人で抱え込まず、公的な相談窓口に相談してください。
困ったときの相談先:消費者ホットライン「188(いやや)」
「188」は、お住まいの地域の消費生活センターなどにつながる、全国共通の電話番号 です。契約や解約のトラブルについて、専門の相談員に相談できます。「自分の契約は クーリング・オフできるのか」「解約を断られた」といった相談に対応してもらえます。
実際、国民生活センターには、かつら関連の契約トラブルの相談も寄せられています。
購入したかつらの無料アフターケアのため店舗に通っていたところ、行くたびに シャンプーや増毛サービスなどを勧められ、断りにくい状況で契約を重ねた結果、 総額で約300万円の契約になり支払いが困難になった——という相談(70歳代・女性)が、 国民生活センターに寄せられています。4
このように深刻化してしまう前に、早めに相談することが大切です。増毛・かつらの トラブル事例と共通パターンは、こちらの記事でまとめて整理しています。
これから契約する人へ:後悔しないための予習
ここまでは「すでに契約した方」向けの内容でした。ここからは、これから契約を 検討している方へ。解約の仕組みを契約前に知っておくと、後悔はかなり防げます。
契約前に効いてくるのは、次の点です。
- 契約書面に解約に関する条項があるか(会社独自の中途解約制度の有無)
- その契約がクーリング・オフの対象になるものか
- 途中解約した場合の精算(違約金の有無・金額)
- ローン契約の場合のローン解除条件(本体契約とは別に確認が必要)
増毛・かつらの後悔の多くは、契約前に費用や解約の仕組みを確認していなかった ことから生まれます。逆に、契約前に確認しておけば、そのほとんどは防げます。
費用の全体像を知っておきたい方は、増毛の費用を3社で調べた記事をご覧ください。
契約前に後悔しやすい点を確認しておきたい方はこちら。
すでに利用していて減らし方・やめ方を知りたい方はこちら。
よくある質問
Q. 増毛はクーリング・オフできますか?
契約の仕方によって異なります。訪問販売・電話勧誘で契約した場合は特定商取引法の クーリング・オフが適用されます。店舗で通常契約した場合は、増毛・かつらが特定継続的 役務の7業種に含まれないため、法律上は原則対象外です。ただし会社独自の解約制度や 契約書の中途解約条項がある場合は解約できることがあります。不明な場合は消費者 ホットライン188に相談してください。
Q. 8日を過ぎたら、もう解約できませんか?
クーリング・オフ期間を過ぎた後に、法律上の中途解約が必ずできるわけではありません。 ただし、契約書の中途解約条項や会社独自の制度などによって解約できる場合があります。 個別の判断が必要なので、あきらめる前に188へ相談できます。
Q. どこに相談すればいいですか?
消費者ホットライン「188」が、お住まいの地域の消費生活センターにつながります。 契約・解約のトラブルについて、専門の相談員に相談できます。
Q. 体験コースだけでも解約できますか?
増毛サロンの体験コースは、その場で施術が完了するものがほとんどで、継続的な契約とは 異なります。そもそも店舗で申し込む増毛・かつらは特定継続的役務の対象外のため、 法律上のクーリング・オフは原則使えません。体験後に本契約を勧められても、 その場で決める義務はありません。契約書面の内容を確認してから判断できます。


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