メンズ美容師として増毛のお客さんを見てきた立場から、増毛・かつらのトラブルを 調べました。
先に結論です。増毛・かつらに関する相談は、国民生活センターに実際に寄せられて おり、件数は増加傾向にあります。 そして公開されている事例を見ると、トラブルには 共通のパターンがあります。突然だまされるのではなく、「断りにくい状況で、 少しずつ契約が積み重なる」という形がほとんどです。
パターンが分かっていれば、契約前に防げます。この記事では、国民生活センターの 公開資料をもとに、相談件数の規模・実際の事例・共通パターンを整理します。いま 困っている方向けの相談先(消費者ホットライン188)も案内します。
増毛・かつらの相談は、どのくらいあるのか
国民生活センターは、全国の消費生活センターに寄せられた相談を「増毛ウィッグ・ つけ毛」という分類で集計・公開しています。件数の推移は次のとおりです1。
| 年度 | 相談件数 |
|---|---|
| 2022年度 | 3,798件 |
| 2023年度 | 6,281件 |
| 2024年度 | 10,717件 |
2年間でおよそ2.8倍に増えています。「増毛やかつらのトラブルなんて、めったに ないだろう」と思われがちですが、公的な相談窓口に届いているだけでこの規模です。
大切なのは、この数字におびえることではなく、どんなトラブルが起きているのかを 知って、同じ入り口を避けることです。次の章から、公開されている事例を見て いきます。
事例①:アフターケアで通ううちに、総額300万円に
国民生活センターが公表している代表的な事例です(公表資料からの要約です)。
購入した女性用かつらの無料アフターケアのため店舗に通っていたところ、行くたびに シャンプーや育毛剤、増毛サービスなどを勧められ、断りにくい状況で契約を重ねた 結果、総額で約300万円の契約になり、支払いが困難になった——という相談(70歳代・ 女性)が、国民生活センターに寄せられています。2
この事例は特定の企業のものとして公表されているわけではなく、増毛・かつら業界 一般に寄せられた相談です。注目したいのは、最初から300万円の契約をしたわけでは ないという点です。
- 入り口は「購入したかつらの無料アフターケア」
- 来店のたびに、シャンプー・育毛剤・増毛サービスと少しずつ勧められる
- 断りにくい雰囲気の中で契約を重ね、気づけば総額が膨らんでいる
つまり、1回1回の判断は小さくても、積み重なった総額を誰も確認しないまま 進んでしまうのがこの型です。防ぐポイントは後の章で整理します。
事例②:通販で買ったウィッグが「説明と違う」
店舗での契約とは別に、オンライン購入のトラブルも公表されています。 国民生活センターは、医療用ウィッグ(脱毛症や治療に伴う脱毛で使う方向けの ウィッグ)のオンライン購入について注意喚起を出しており、「届いた商品が説明と 異なる品質だった」「返品・返金に応じてもらえない」という相談が累計423件登録 されています3。
サロンでの増毛契約とは場面が異なりますが、「画面の情報だけで判断して、 確認しないまま支払う」という点で、根っこは店舗契約のトラブルと同じです。 ウィッグを通販で検討するなら、返品条件と販売元の情報を先に見ておけば、この型は 避けられます。
事例に共通する3つのパターン
公開されている事例を突き合わせると、共通するパターンは次の3つに整理できます。
| パターン | 起きること | 防ぎ方 |
|---|---|---|
| 断りにくい状況 | 来店のたびに勧められ、その場の雰囲気で契約してしまう | その日は契約せず、時間を置いて考える |
| 総額を確認しない | 1回ごとの契約は小さくても、積み重なった総額を把握していない | 契約のたびに、これまでの契約総額を通算で把握する |
| 比較せず判断する | 提示された内容を他社と比べずに決めてしまう | 同じ項目で他社と比べてから決める |
どれも特別な知識は要りません。総額を通算で見て、時間を置くだけで、3つの パターンはほぼ防げます。
これから契約する人へ:契約前に確認すること
増毛・かつらのトラブルの多くは、契約前に情報を把握しておけば防げる型です。体験や カウンセリングに行く前に、次の記事で「見せられる数字の意味」と「契約条件」を 押さえておけば、当日に慌てずに判断できます。
体験の流れ・料金・勧誘への備えはこちら。
3社の料金と契約条件を突き合わせた記事はこちら。
いま困っている人へ:相談先とやめ方
困ったときの相談先:消費者ホットライン「188(いやや)」
「188」は、お住まいの地域の消費生活センターなどにつながる全国共通の電話番号です。 「断りきれず契約してしまった」「解約を断られた」「総額が支払えない」といった 相談に、専門の相談員が対応してくれます。この記事で紹介した事例も、こうした 窓口に寄せられた相談がもとになっています。
なお、店舗で通常契約した増毛・かつらは、法律上のクーリング・オフの対象外と なるのが原則です。ただし、契約書の解約条項や会社独自の解約制度で解約できる 場合があります。解約を考えている方は、こちらの記事で自分の契約がどのケースに 当たるかを確認してください。
契約はそのままで、人工毛を減らしたい・やめたい方はこちら。
よくある質問
Q. 増毛やかつらは、トラブルが多いのですか?
国民生活センターの「増毛ウィッグ・つけ毛」分類には年間数千件〜1万件超の相談が 寄せられており、件数は増加傾向にあります1。ただし、公開されている事例には 共通パターンがあり、契約前の確認で防げるものが中心です。
Q. 勧誘を断りにくいときは、どうすればいいですか?
「今日は契約しません」と最初に伝えておくのが効果的です。提示された内容は 落ち着いて検討すれば十分です。断りにくい状況で契約を重ねてしまった場合は、一人で 抱えず消費者ホットライン188に相談してください。
Q. すでに契約してしまいました。解約できますか?
契約の仕方や契約書の内容によります。店舗での通常契約は法律上のクーリング・オフの 対象外となるのが原則ですが、会社独自の解約制度や中途解約条項で解約できる場合が あります。詳しくは解約ガイドで整理しています。


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